後藤元洋写真展
―photographs 1990-99「ちくわ」という記号―


会期
Side A (Best)
2000年8月1日(火)〜8月18日(金)
Side B(Remix) 2000年8月19日(土)〜8月31日(水)

会場:Gallery Private
鎌倉市御成町17-24 鎌倉ワイン館内 
TEL:0467-23-7211
JR鎌倉駅西口下車徒歩3分(鎌倉市役所向かい)
入場無料

1999年11月、私は、日本・ポーランド交流写真展の搬入・レセプション出席のため中欧のポーランドに行ってきました。この写真展は、ポーランド国内4都市を巡回するもので、そのメイン会場であるManggha(クラクフ国立博物館・日本美術技術センター)は、ヨーロッパでは数少ない日本の文化・美術を研究・収集・展示を行う美術館でした。

私は80年代後半より「ちくわ」をつかった作品を発表し続けているのですが、「ちくわ」を知らない国での展示は今回が初めての経験になりました。それまで、理屈では理解していたつもりですが「ちくわ」を知らない人達にとって私の作品はどううつるかが気になり、「ちくわ」についての説明文を作品の横に掲示しました。結局、身体として「ちくわ」を認知していない人達にとっては、説明文はあまり意味をなしませんでした。会場に来ていた、ワルシャワ大学で日本語を学んでいる学生と話すと、彼は、私の作品についての説明は理解できると流暢な日本語で言うのですが、「ちくわ」を実際に見たことはないということでした。日本文化を理解しようとしている彼にとって、「ちくわ」は記号としては理解できるようですが、はたして、それでいいのかと疑問がわいてきました。
記号としての「ちくわ」と、物体としての「ちくわ」。この二者の間の距離は何なのかと。写真が国際言語にならないことは明示の事実なのですが、私の作品を見るのに、べつに「ちくわ」を全く認知していなくてもいいのではないかと思ったりもします。

そこで、今回の個展で、90年代に発表した「ちくわ」を使った作品をあらためて展示したいと考えました。(写真とは、記号とは、文化とは、物体とは、身体とは、「ちくわ」を核として内省しようとして)

出品作品:モノクロ・オリジナルプリント Side A,Bとも各13点